「日本語教育を通じたDX人材育成」シンポジウム2026に登壇しました

2026.08.03

2026年7月23日、ベトナム・ダナン市にある越韓情報技術通信大学(VKU)にて、「日本語教育を通じたDX人材育成」シンポジウム2026が開催されました。 本シンポジウムには、日本語教育機関、大学関係者、学生など多くの方々が参加し、AIやDXの進展によって変化する日本語教育のあり方や、これからのグローバル人材育成について、多角的な視点から議論が行われました。 ネクスキャットからはオンラインにて、代表の千歳紘史がパネルディスカッション「日本語教育はどのように実務と接続されるべきか」に登壇。 また、グローバル推進を担う岩舘由香が「企業が求める日本語運用力とビジネスマインド」をテーマに講演を行い、その後のパネルディスカッション「言語から職能へ」にも参加しました。

日本語教育は「日本語を教える」から「職業人を育てる」へ

基調講演では、創価大学の神村初美教授より、日本語教育とキャリア形成の関係について講演が行われました。

これまでの日本語教育は文法や語彙など言語技能の習得が中心だった一方で、変化の激しい現代社会では、自ら課題を発見し、考え、協働しながら解決する力を育む教育への転換が必要であることを述べられました。

その背景として紹介されたのが「状況的学習論」です。

これは、学びは教室だけで完結するものではなく、企業など実際の現場で人との関わりや実践を通して深まるという考え方です。また、人は他者から認められ、自分の存在価値を実感することで主体的な成長へとつながることにも触れられ、人材育成には学習環境や組織の関わりが重要であると説明しました。

講演の締めくくりとして、日本語教育の目的は日本語能力試験の合格ではなく、チームで協働し、自ら考えて行動できる職業人を育成することにあると強調されました。実務に必要な日本語を実践の中で学ぶ教育への転換は、これからの日越人材育成において重要な視点となることでしょう。

対話を重ね、互いを知ることから始まるグローバルな組織づくり

パネルディスカッション「日本語教育はどのように実務と接続されるべきか」には、ネクスキャット代表取締役の千歳紘史がオンラインで参加しました。

ネクスキャットでは、VKU、NiX Educationとの連携により、約3年にわたってインターンシッププログラムに取り組んでいます。これまでの取り組みを通じて学生を採用し、現在も将来の採用を見据えながら、学生との継続的な交流を進めています。

ディスカッションの中で千歳は、学生や新入社員の成長を支えるうえで、対話の「頻度」を大切にしていると話しました。キャリアについて考える機会を3か月に一度設けるだけでなく、日々の1on1やチームミーティングなどを通じて、リモート環境においても継続的にコミュニケーションを取ることを重視しています。

こうした取り組みは、当初、千歳自身がグローバル人材の採用を推進したことから始まりました。その後、実際に学生との交流を重ねるなかで、社内メンバーの意識も変化し、現在では現場のメンバーが主体となって、日々の対話やキャリア支援に関わるようになっています。

また千歳は、学生に日本企業やネクスキャットを理解してもらうだけでは、真に同じ仲間として働く関係にはならないと語りました。企業側もまた、ベトナムの文化や学生一人ひとりの考え方、価値観を知る必要があります。頻度の高いコミュニケーションとは、企業の考えを一方的に伝えるためのものではなく、互いを理解するための双方向の営みです。

学生との交流は、ネクスキャットの組織にも変化をもたらしています。千歳は、学生を受け入れたことで「社内が明るくなり、組織全体のエネルギーが高まった」と振り返りました。日本語の習得や海外で働くことに向けて努力する学生の姿が、日本のメンバーにも良い刺激を与えています。言語や文化の違いを乗り越えながら共に挑戦する経験が、働くことへの前向きな気持ちや、組織の活力につながっているのです。

日本語教育と実務を接続するために必要なのは、単に仕事で使う言葉を身につけることだけではありません。対話を重ね、互いの背景や価値観を知り、同じ目標に向かって一緒に取り組むこと。その積み重ねが、国籍や文化を越えて「同じ仲間として働く」ための土台になることが、今回のディスカッションを通じて示されました。

「企業が求める日本語運用力とビジネスマインド」をテーマに講演

午後の部ではグローバル推進を担う岩舘由香が、「企業が求める日本語運用力とビジネスマインド」をテーマに講演を行いました。

講演では、日本企業で働くために必要なのは、文法や敬語を正しく使うといった日本語の知識だけではなく、その知識を用いて相手と対話しながら相互理解を育む日本語運用力であることをお伝えしました。

また、仕事で生じる認識のずれは、国籍や言語の違いだけが原因ではありません。個人の経験や価値観、組織文化、仕事の進め方など、さまざまな要因が重なって生まれるものです。そのため、「外国人だから」「日本人だから」と捉えるのではなく、一人ひとりと向き合い、対話を重ねながら共通理解を築くことの重要性についてお話ししました。

さらに、ネクスキャットがベトナムやインドネシアで実施しているインターンシップの実例を交えながら、学生だけが日本企業に適応するのではなく、受け入れる企業側も伝え方や仕事の進め方を見直し、互いに学び合う姿勢が、より良いグローバル組織づくりにつながることを共有しました。

講演の最後に、当社がグローバル人材育成に取り組む上で大切にしている考え方として

「日本語は、日本人になるための言葉ではありません。自分を伝え、相手を知り、異なる人と共に未来をつくるための言葉です。」

を伝えて締めくくりました。完璧に理解し合うことを目指すのではなく、理解しようとすることをやめないこと。その積み重ねが、世界中の人が幸せに働ける未来につながると信じています。

教育と企業がつながることで、学びは社会へつながる

パネルディスカッションでは、日本語教育を「学習」で終わらせず、「仕事」や「キャリア」とどのようにつなげていくかを軸に、現在の取り組み課題に感じていること、そして未来に繋げる一手について、教育機関と企業、それぞれの立場から意見を述べました。

学生が社会で活躍するためには、日本語教育と実務教育を切り離して考えるのではなく、互いに連携しながら育成していくことが重要です。

当社でも、VKUとのインターンシップを通じて、学生の皆さんと実践的な学びを積み重ねています。今回のシンポジウムでも、教育機関と企業が同じ方向を向いて人材育成に取り組むことの大切さを改めて実感しました。

世界中のあらゆる人が幸せに働ける組織を目指し、対話を続ける

今回のシンポジウムを通じて改めて感じたのは、AIやDXが進化する時代だからこそ、人と人とが対話を重ね、互いを理解しようとする姿勢の価値が、これまで以上に高まっているということです。

教育機関、企業、そして学ぶ側。それぞれが一方的に変わるのではなく、互いに学び合い、歩み寄ることで、より良い教育や組織づくりにつながります。

私たちは、「幸せに働く。そして、みんなをずっと幸せにする。」という理念のもと、これからも教育機関の皆様と連携しながら、国や文化の違いを越えて互いに学び合える環境づくりに取り組んでまいります。